支援の視点について
2010年からウクライナの首都キエフ(現キーウ)に移り住んだ私は、それなりに平穏な日々を過ごしていました。ところが、2022年2月24日突如侵攻してきたロシア軍により、私の生活は一変しました。警報音が鳴り響くと、地下シェルターへと逃げ込む毎日でした。
大勢のウクライナ人、国境を越えたところで出会ったポーランド人の方々の、正に善意のリレーによって、ようやく3月17日に日本へ戻ってきました。そして一般社団法人ウクライナ人道支援ジャクユーサポートを5月17日に立ち上げました。
ジャクユーは、ウクライナ語で「ありがとう」の意味です。私は、ウクライナとポーランドでの見ず知らずの人々の善意に多大な恩を感じています。そして、何かしなればならないという思いにかられてきました。
様々な支援の方法がある中で、次のような3つの視点に立った支援を考えました。
1. 人的ネットワークを生かして、民から民へ
長年キエフで生活する間に、自然にウクライナ人との付き合いが広がっていきました。今も彼らとはネットでつながっており、彼らから現地の状況を直接伝え聞くことができます。どのような支援が効果的か、彼らと話し合いながら民から民への支援をしようと考えています。
2. 支援の重点地域を決めて
ウクライナ全土をカバーするとか、ヨーロッパの避難先の国々まで支援を広げるとかでは、支援の範囲が広すぎます。そこで、キエフ近郊で被害の大きかったゴストーメリ、ブッチャ、イルピン3つの市の支援から始めようと考えました。この3市には知人が住んでおり、近郊の町なので他地域に比べて人や物資の流れもスムーズだからです。
3. 言論と表現の自由を守る
ウクライナは民主主義の国です。言論や表現が統制されてしまうような国に支配されたり、国土を奪われたりするわけにはいきません。日本からブログや美術作品を発信する行為は、ウクライナ人道支援の根本であると考えています。
一般社団法人ウクライナ人道支援ジャクユーサポート
代表理事 葛西孝久